Misa’s Mindfulness Blog

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<心理学>壁は乗り越えられる人にしかやってこない/レジリエンスとは

イチロー選手が言った有名な言葉に『壁というのは、できる人にしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。だから壁がある時はチャンスだと思っている』というのがあります。この言葉を座右の銘とし、部活動や試験勉強に打ち込む学生もいるでしょうし、普段の生活の中で困難に見舞われている時にこの考え方に救われる人は多いのではないでしょうか。

心理学においてレジリエンス(Resilience)という言葉があります。レジリエンスは、己が不利な状況において自分自身のタスクを対応させる能力と定義され、これは人間が本来備えている能力の一つと言われています。イチロー選手の言っている『壁を乗り越えられる人』というのは、レジリエンス(困難への対応能力)をうまく発揮できる人だと思います。

本日はこのレジリエンスを基に、困難に直面した時はどのように対処するのが良いのか、心理学の観点からお話をしていきたいと思います。

 

 


  

1. レジリエンスとは

心理学的なレジリエンス

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レジリエンスはもともと「ストレス(圧力)を跳ね返す力」という意味で物理用語として使われていました。ストレス(力)によって物体が歪む状態があるとすると、レジリエンスはそれを元に戻そうとする力のことを指し、それが心理学にも派生したと言われています。心理学では、ストレスによって心が歪んだ状態を回復する力、復元する力として定義されています。

 

レジリエンスと心の関係

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ストレスがかかると人は誰しも落ち込み、ネガティブな感情が生まれてきます。“また仕事で同じミスをしてしまった”、“大学の試験で思うような力が発揮できなかった”など、自分が思い描いていた結果ではないことが起こった時に、人は自分を責めることをしてしまいがちです。

レジリエンス(跳ね返す能力)が高い人はストレスによって歪んだ感情を跳ねのけて回復する能力を持っています。ミスをしてしまったという悔しさがあっても、それをバネにして次につなげようと感情がポジティブに動きます。もしくはその失敗から学んで、それ以上の結果を出すことが可能になるかもしれません。

 

レジリエンスを高める方法

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レジリエンス力が高いと、失敗や困難も力に変えることが可能になります。レジリエンスを高めるには、以下の3つのポイントが重要になります。

 ①自己肯定感を高める

自分の存在を肯定的に捉えることができるようになりましょう。自分はダメな部分があるけど、良い部分も沢山あるんだ、自分は唯一無二の存在なんだと自分を認めてあげることが大切です。

②物事に一喜一憂しない

レジリエンスが低い人の特徴に、感情の起伏が激しいことが挙げられます。物事に対して一喜一憂せずに、自分の感情をしっかり見つめてコントロールできる力レジリエンスの発揮には欠かせません。

③物事を長い目で捉えて楽観的になること

人間は大きな困難に直面したときに「自分の力ではどうにもならない」と無力感に襲われたり諦めたりすることがあります。このような状態ではレジリエンスは発揮できず、ただただ自己肯定感を低くし負のスパイラルにはまっていきややすくなります。このような時は「今起こっている問題は一時的なんだ」と長い目で現実を受け入れる姿勢を持つようにし「きっとこの問題もいつかは解決する」と前向きな姿勢を貫くことが大切です。

 

2. 困難に直面した時の心構え

困難は乗り越えられる人にしかやってこない

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ここまでレジリエンスに関して説明してきましたが、ここからはイチローの言う『壁は乗り越えられる人にしかやってこない』という意味を考えてみます。

本来『苦悩』というのは「前進したい、成長したい」という思いがある人にしかやってきません。部活動に例えてみると、“スランプに陥る人”というのはもっと上手くなりたい、結果を残したいという信念のもと、練習を沢山しているけど上達が見られない時に起こる事象です。これは「自分が現状よりもうまくなりたい、高い所に行きたい」と思いのもと練習を沢山した結果起こることで、そもそもそのようなモチベーションがない人には訪れない現象だということなります。

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同様に精神的な困難もとを辿ると自分の中に「こう在りたい」「こうなりたい」といったような、希望や向上心が元となり起こるということが共通しています。恋人と別れて悲しくてたまらなかったとしても「幸せになりたい」「楽しい毎日を送りたい」といった人生の目標があるから感じることです。

このような明確な目標がある人に困難というものはやってきます。それはこうなりたいという目標があって乗り越えられる可能性があるから訪れるのです。

 

ピンチはチャンスの精神

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人間は「悩み」なしに成長はあり得ません。困難に直面して初めて自分を見つめなおし、自分の言動を振り返ることができ、他者へのありがたみに気づくことができるのです。困難や悩みがあるということは、自分が内面から大きく成長できる絶好の機会です。一見ピンチに思えるような状態でも、自分自身や習慣、他者の存在を改めて認識することによって、より大きな器の人間に成長する絶好のチャンスなのです。

 

困難を乗り越えた後にあるもの

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困難を乗り越えた後にあるものは創造力他者への思いやりです。沢山傷ついてマイナスな感情にも振り回された心は、どうしたらそれを乗り越えられるか自分の考えを理解しようと努力をします。今まで当たり前だと思っていたことを見つめ直し、新しい考え思考回路を創りだす必要があります。

例えば、今までは家族はそばにいてくれて当たり前と思っていたけれど、家族と離れ離れになって初めて「家族がいるのは当たり前ではない、感謝しなければいけない」と考えが変わるといったような、今までにない考え方や視点との出会いがあり、同時に他者への感謝の気持ちが芽生えるようになります。

困難を乗り越えた後に人が成長できたと感じるのは、こうした新たな考えを発見できた創造力と、人への感謝の気持ちを持つことができるようになるからだと思います。

 

3. まとめ

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レジリエンスが高い人は、心に降りかかってくるストレスを“自己肯定・感情コントロール・楽観視”の側面から跳ね返す能力を備えています。このような人は困難に直面してもうまい具合に抜け出すすべを持っていると言えるでしょう。

困難は乗り越えられる人にしかやってきません。直面している問題に対しては悲観的になりすぎずに「いつかは乗り越えるんだ」と自分を信じて対処していきましょう。

乗り越えた時に人間的にも一回りも二回りも大きく成長できるので、イチロー選手のように『壁は乗り越えられる人にしかこないんだ!』と思えるよう地道にレジリエンスを高めるトレーニングしましょう。

 

 

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